トレンド解説
中小企業の離職対策|給与不満は制度・ルールの見える化で防ぐ
※本記事は、毎週配信しているメールマガジン「Do&Be人事通信」の『PICKUP解説』をもとに、初めての方にも読みやすいよう再構成したものです。
中小企業の離職対策において、「給与不満」はよく挙げられる課題のひとつです。
今回取り上げるのは、パーソル総合研究所が掲載した『インフレ・人材不足時代に人材をつなぎとめる「給与の未来展望」―給与の「未来不安」が離職を生む時代に、企業は何を示すべきか』です(レポートは記事末尾に掲載)。本レポートは大規模調査に基づくものであり、給与満足度の構造を示唆するものです
このレポートでは、給与満足度に影響する要因として、「現在の給与水準」そのものよりも「将来の見通し」が大きく関係している点が示されています。(もちろん、給与水準そのものが市場と大きく乖離している場合は、見通しだけでは補えないケースもあります。)
具体的には、
・昇給の可能性やキャリアの展望が見えない場合、満足度が下がる傾向
・給与額が一定水準でも、「今後どう変わるか」が不明確だと不満につながる
つまり、同じ給与水準であっても、「この先どうなるか」が見えているかどうかで、感じ方が大きく変わるということです。
この状況になった背景には、働き方の前提が変わってきたことがあります。
かつては、長く働けば自然と給与が上がるという前提がありました。しかし現在は、「昇給の仕組みが企業ごとに異なる」「キャリアパスが明確でない企業も多い」「将来の収入が予測しづらい」といった状況が一般化しています。
その結果、社員は「今いくらもらっているか」と同時に、「この会社にいて将来どうなるのか」も重視するようになっているのです。給与は“点”ではなく、“線(将来)”で見られるようになった、という変化です。
このような変化に対して、未だに、「給与を上げれば解決する」という根強い誤解があります。先ほど述べたように、問題の本質は今もらっている給与額だけではなく、「将来、どうなるのか」ということなのです。
確かに、給与や評価に関する制度がある会社も多くあります。しかし、仮に制度が存在していても、
・昇給の基準が分からない
・評価の理由が説明されない
・どのように成長すれば給与が上がるのか不明
といった状態であれば、社員にとっては「将来が見えない状態」と同じです。
つまり、制度があることと、理解されていることは全く別だということです。言い換えると、離職は給与水準だけでなく、『納得感』に大きく影響される傾向があります。そして納得感を生むのは、制度の有無ではなく、「見通しが言語化されているかどうか」です。
中小企業の現場では、「評価制度や給与制度はあるけれど、社員は内容をよく知らない」という状態がよく見られます。
皆さんの会社では、次のようなことはありませんか?
・入社時に一度しか説明していない
・基準が抽象的で理解しづらい
・管理職でさえ、仕組みをよく理解できていない
実は、多くの会社でこのような実態があり、評価制度や給与制度が「見通し」として認識されていないケースが少なくありません。結果として、「この会社にいても先が見えない」という不安が蓄積していきます。
となると、中小企業において重要なのは、大きな制度変更よりも「いまある制度の見える化」です。「見える化」とは、評価や給与の基準・現在地・次に求められる行動が、社員自身の言葉で説明できる状態を指します。
例えば、
・どの行動が評価されるのか
・どのレベルに達すると昇給するのか
・次に何を期待されているのか
これらが具体的に示され、日々の事業運営の中で浸透しているかが納得感を左右します。制度を整えることよりも、このように「見通しが伝わる状態をつくること」が優先されるべきです。
まずは、次の問いから始めてみてください。
・社員に「どうすれば給与が上がるか」を説明できますか?
・社員が「来年の自分の給与イメージ」を説明できますか?
・次に期待されている役割を、本人は理解していますか?
もし答えられない場合、必要なのは制度変更ではなく、まずは今ある制度やルールを説明できる状態にすることです。
すべてを一度に整える必要はありません。まずは以下のような小さな取り組みから始めます。
例えば、
・評価項目のどの行動が評価されたのかを具体的に1つ伝える
・評価後のフィードバックで「次に求める行動」を1つに絞って伝える
こうした小さな積み重ねが、「見通し」をつくります。
今回のポイントは以下の3点です。
・給与満足度は「現在の額」とともに、「将来の見通し」に左右される
・給与を理由とした離職には、金額だけではなく「納得感」にある
・中小企業では制度より「日常の伝え方」が定着を左右する
参考データ(出典)
・給与満足度に影響するのは将来見通しについて解説
パーソル総合研究所「インフレ・人材不足時代に人材をつなぎとめる『給与の未来展望』―給与の『未来不安』が離職を生む時代に、企業は何を示すべきか」
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/thinktank-column/202603310001/
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退職理由の本音は「給与額」ではない?|離職対策で見落とされがちな視点
中小企業の離職対策において、「給与不満」はよく挙げられる課題のひとつです。
今回取り上げるのは、パーソル総合研究所が掲載した『インフレ・人材不足時代に人材をつなぎとめる「給与の未来展望」―給与の「未来不安」が離職を生む時代に、企業は何を示すべきか』です(レポートは記事末尾に掲載)。本レポートは大規模調査に基づくものであり、給与満足度の構造を示唆するものです
このレポートでは、給与満足度に影響する要因として、「現在の給与水準」そのものよりも「将来の見通し」が大きく関係している点が示されています。(もちろん、給与水準そのものが市場と大きく乖離している場合は、見通しだけでは補えないケースもあります。)
具体的には、
・昇給の可能性やキャリアの展望が見えない場合、満足度が下がる傾向
・給与額が一定水準でも、「今後どう変わるか」が不明確だと不満につながる
つまり、同じ給与水準であっても、「この先どうなるか」が見えているかどうかで、感じ方が大きく変わるということです。
退職理由には将来不安がある|給与不満の本当の原因
この状況になった背景には、働き方の前提が変わってきたことがあります。
かつては、長く働けば自然と給与が上がるという前提がありました。しかし現在は、「昇給の仕組みが企業ごとに異なる」「キャリアパスが明確でない企業も多い」「将来の収入が予測しづらい」といった状況が一般化しています。
その結果、社員は「今いくらもらっているか」と同時に、「この会社にいて将来どうなるのか」も重視するようになっているのです。給与は“点”ではなく、“線(将来)”で見られるようになった、という変化です。
給与不満の背景と考えるべきポイント|離職は納得感で決まる
このような変化に対して、未だに、「給与を上げれば解決する」という根強い誤解があります。先ほど述べたように、問題の本質は今もらっている給与額だけではなく、「将来、どうなるのか」ということなのです。
確かに、給与や評価に関する制度がある会社も多くあります。しかし、仮に制度が存在していても、
・昇給の基準が分からない
・評価の理由が説明されない
・どのように成長すれば給与が上がるのか不明
といった状態であれば、社員にとっては「将来が見えない状態」と同じです。
つまり、制度があることと、理解されていることは全く別だということです。言い換えると、離職は給与水準だけでなく、『納得感』に大きく影響される傾向があります。そして納得感を生むのは、制度の有無ではなく、「見通しが言語化されているかどうか」です。
中小企業で起きるズレとその対応|制度が伝わらない問題
中小企業の現場では、「評価制度や給与制度はあるけれど、社員は内容をよく知らない」という状態がよく見られます。
皆さんの会社では、次のようなことはありませんか?
・入社時に一度しか説明していない
・基準が抽象的で理解しづらい
・管理職でさえ、仕組みをよく理解できていない
実は、多くの会社でこのような実態があり、評価制度や給与制度が「見通し」として認識されていないケースが少なくありません。結果として、「この会社にいても先が見えない」という不安が蓄積していきます。
となると、中小企業において重要なのは、大きな制度変更よりも「いまある制度の見える化」です。「見える化」とは、評価や給与の基準・現在地・次に求められる行動が、社員自身の言葉で説明できる状態を指します。
例えば、
・どの行動が評価されるのか
・どのレベルに達すると昇給するのか
・次に何を期待されているのか
これらが具体的に示され、日々の事業運営の中で浸透しているかが納得感を左右します。制度を整えることよりも、このように「見通しが伝わる状態をつくること」が優先されるべきです。
離職を防ぐ具体行動|中小企業でできる制度の見える化
まずは、次の問いから始めてみてください。
・社員に「どうすれば給与が上がるか」を説明できますか?
・社員が「来年の自分の給与イメージ」を説明できますか?
・次に期待されている役割を、本人は理解していますか?
もし答えられない場合、必要なのは制度変更ではなく、まずは今ある制度やルールを説明できる状態にすることです。
すべてを一度に整える必要はありません。まずは以下のような小さな取り組みから始めます。
例えば、
・評価項目のどの行動が評価されたのかを具体的に1つ伝える
・評価後のフィードバックで「次に求める行動」を1つに絞って伝える
こうした小さな積み重ねが、「見通し」をつくります。
今回のポイントは以下の3点です。
・給与満足度は「現在の額」とともに、「将来の見通し」に左右される
・給与を理由とした離職には、金額だけではなく「納得感」にある
・中小企業では制度より「日常の伝え方」が定着を左右する
参考データ(出典)
・給与満足度に影響するのは将来見通しについて解説
パーソル総合研究所「インフレ・人材不足時代に人材をつなぎとめる『給与の未来展望』―給与の『未来不安』が離職を生む時代に、企業は何を示すべきか」
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/thinktank-column/202603310001/
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◆「制度はあるが機能していない」と感じる場合は、第三者視点で整理することで見え方が変わることもあります。制度を大きく変える前に、「いま何が起きているか」を整理するところからご一緒します。自社の状況を落ち着いて考えたい場合は、お気軽にお問い合わせください。
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