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AI時代の管理職の役割|マネジメントの変化と中小企業での対応

AI時代の組織マネジメントは、「業務を管理する役割」から「人が力を発揮できる状態をつくる役割」へと変化しています。AIが業務効率や判断支援を担う一方で、意欲や主体性といった人の領域は、これまで以上に上司の関わり方に依存するようになっているためです。

本記事では、調査データをもとにAIによるマネジメント変化の構造を整理したうえで、中小企業においてなぜ役割の再定義が進まないのか、その背景を解説します。そのうえで、管理職が現場で実行できる具体的な役割の見直しと実務対応まで落とし込みます。
※この「トレンド解説」では、気になる人事レポートを取り上げ、その解説と中小企業における対策のヒントを提供しています。今回取り上げるのは、リクルートマネジメントソリューションズが実施した『AI活用が変える職場とマネジメント業務調査』(レポートは記事末尾に掲載)です。

AI導入で何が変わったのか?調査データから見る組織マネジメントの変化の全体像


今回の調査では、AIの活用が職場にどのような変化をもたらしているのか、特にマネジメント業務への影響に焦点が当てられています。

まず注目すべきは、AI活用による業務面の変化です。AIを業務で活用している人のうち、61.7%が「業務効率化・生産性向上」を実感し、56.5%が「新たにできることの増加」、52.9%が「業務の質向上」を実感しています。

この結果から、AIはすでに業務の一部を代替・高度化する存在として定着し始めていることが分かります。

さらに、AI活用者と非活用者の間では、「業務効率化」で58.7%と20.1%、「業務の質向上」で51.4%と17.2%といったように、30〜40ポイントの差が生まれています。これは、AIの活用が単なる補助ではなく、成果そのものに影響していることを示しています。

一方で、マネジメント領域に目を向けると、AIと上司の評価は明確に分かれています。AIは「複数選択肢の提示(42.4%)」や「新たな視点の提供(38.8%)」など、思考補助の領域で評価されています。これに対して上司は、「気持ちへの寄り添い(42.7%)」「やる気の喚起(40.8%)」「価値観や感情の理解(38.5%)」といった、人の内面に関わる領域で優位です。

AI時代における管理職の役割変化とは?業務管理から人材マネジメントへのシフト

従来:業務管理(進捗・指示・成果コントロール)
AI時代:人の状態マネジメント(意欲・納得感・主体性)

レポートの数値を踏まえると、AI時代におけるマネージャーの役割は明確に変化しています。

従来のマネジメントは、業務の進捗管理や指示出し、成果のコントロールといった「業務を回すこと」に重きが置かれていました。しかし、これらの領域はAIによって効率化・代替が進む領域です。実際に、業務効率化や質の向上が60%前後の人に実感されていることが、その変化を裏付けています。 

一方で、AIでは代替しにくい領域として浮かび上がっているのが、「人の状態(意欲・納得感・役割認識など)に関わるマネジメント」です。具体的には、モチベーションの維持、感情の理解、価値観への寄り添いといった領域です。これらは調査でも上司の方が高く評価されています。 

ここから導かれる結論はシンプルです。

マネージャーの役割は「業務管理」から「人の状態のマネジメント」へと移行している
 
これは役割の縮小ではなく、むしろ“専門化”です。業務を管理する機能がAIに移ることで、人に向き合う役割がより純化されていきます。

つまりこれからの管理職は、「何をするか」ではなく、「どこに価値を出すか」が問われる存在になります。AIと競合するのではなく、AIが担えない領域に集中することが前提になります。 

なぜマネジメントは変わらないのか?中小企業で役割移行が進まない3つの構造要因


役割の変化が明確であるにもかかわらず、現場ではその移行が進んでいません。特に中小企業では、その傾向が顕著です。 

要因は大きく3つあります。 

第一に、「役割定義が更新されていないこと」です。管理職の役割が依然として「業務を回すこと」に置かれているため、AIによって削減可能な業務もそのまま残り続けます。その結果、役割が上書きされず、変化が起きません。 

第二に、「評価の仕組みが変わっていないこと」です。多くの現場では、管理職は依然として業務成果や進捗管理で評価されます。そのため、人材育成や関係構築に時間を使っても評価につながりにくく、行動が変わらない構造になっています。 

第三に、「時間の再配分がされていないこと」です。AIによって業務効率が上がっても、その時間は新たな業務に使われることが多く、人に向き合う時間に転換されていません。

さらに中小企業特有の要因として、「管理職がプレイヤー業務を兼ねている」点も見逃せません。業務とマネジメントを同時に担うため、どうしても“目の前の業務”が優先され、人への関わりは後回しになります。

これらが組み合わさることで、役割は変わるべきなのに、変えられない状態が生まれています。

中小企業はどう対応すべきか?AI時代に求められる管理職の実務とマネジメント再設計


では、現場ではどのように役割を再設計すればよいのでしょうか。重要なのは、理想論ではなく、日常業務の中で実行できる単位まで分解することです。

①「やめる仕事」を決める:まずは業務の一部を見直す
最初に取り組むべきは、業務の棚卸しです。ただし、網羅的に行う必要はありません。まずは「毎週行っている業務」を書き出し、その中から以下に該当するものを抽出します。

・資料作成(報告書、会議資料など)
・情報整理(データ集計、議事録など)
・たたき台作成(企画書、文章案など)

これらはAIに置き換えやすい業務です。

そのうえで、まずは全体の一部を目安に「自分がやらない業務」として切り分けます。例えば、10%程度から試しに見直してみるのも有効です。最初から完全に移行する必要はありません。重要なのは、どの業務を手放すかを明確にすることです。

②時間の再設計:1on1は頻度と内容をあらかじめ決める
次に、確保した時間の使い方を設計します。多くの場合、「時間があれば実施する」という運用では継続しません。そのため、あらかじめ予定として組み込むことが必要です。さらに重要なのは、対話の内容です。 

従来は進捗確認やタスク報告が中心になりがちでしたが、それでは役割の変化には対応できません。

以下のような観点で対話を行います。

・現在どの点で困っているか
・最近うまくいったことは何か
・次に挑戦したいことは何か

業務の確認ではなく、本人の状態や考えに焦点を当てることが重要です。

③関わり方の転換:指示ではなく問いかけを中心にする
日常の関わり方も見直す必要があります。従来は、上司が判断し指示を出すことが中心でしたが、AIが情報提供や判断補助を担うようになると、この関わり方の価値は相対的に低下します。

その代わりに求められるのが、問いかけによって考えを引き出す関わりです。

例えば、

・どのように進める予定か
・その判断の根拠は何か
・リスクになりそうな点はどこか

このような問いを通じて、部下自身が考え、判断する機会を増やします。これにより、思考の質と主体性の両方が高まります。 

④心理的安全性の設計:対応ルールを明確にする
心理的安全性は重要ですが、抽象的なままでは機能しません。現場では、具体的な対応ルールとして定義することが必要です。

例えば、以下のような基本ルールを設定します。

・ミスが発生した場合は、個人の責任よりも事実関係の整理を優先する
・意見が出た際は、即座に評価せず一度受け止める

このような対応を徹底することで、発言や挑戦がしやすい環境が生まれます。結果として、メンバーの主体的な行動が促進されます。

ここまでの取り組みはすべて連動しています。業務を見直して手放すことで時間を確保し、その時間を対話に充て、関わり方を変え、安心して発言できる環境を整える。この一連の流れによって、メンバーが自律的に動く状態が生まれます。

AI時代のマネジメントは、新しい施策を追加することではなく、既存の仕事と関わり方を見直すことから始まります。まずは、自社の現場で実行できる範囲から着手することが現実的な第一歩となります。

まとめ:AI時代は「人に向き合う経営」が差を生む


今回のポイントはシンプルです。

業務はAIへ、人は上司へ

この役割分担がすでに始まっています。重要なのは、「AIをどう使うか」とともに、空いた時間を何に使うかです。

中小企業においては、この判断がそのまま業績差につながる可能性があります(特に人材依存度が高い中小企業では影響が大きい傾向があります)。管理職の関わり方ひとつで、組織の生産性も、メンバーの主体性も大きく変わります。

難しく考える必要はありません。 

・やめる仕事を決める
・人に向き合う時間を確保する

この2つから始めてください。

AIを「業務を減らす装置」と考え、管理職は「人の力を引き出す役割」に特化していく。本当に組織を強くするのは、日々の人への関わり方です。これまで後回しにしてきた「人に向き合うマネジメント」に踏み出すこと。それができる企業から、これからの時代で選ばれていきます。


参考データ(出典)
AI活用が変える職場とマネジメント業務調査-株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000188.000029286.html

  

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